経済学が役に立たない理由(1)

1月8日の日経の「エコノ探偵団」のタイトルは「経済学は役に立つか?」だった。経済学はこのような疑問が投げかけられるほど役に立っていない。より正確に言うなら、有効性に乏しい。理論物理学なども実用的な学問とは言い難いが、「役に立つか?」と問われることはそう多くない。

市場経済ではなく、統制経済をモデル化した均衡モデル

経済学が有効性に乏しいのは、主流派経済学が奉じている均衡モデルが市場経済をモデル化したものではなく、統制経済をモデル化したものだからである。前提が大きく間違っているから、さまざまな複雑な仮説を追加せねばならなくなり、現実からさらに遊離していく。天動説では惑星の運動を説明するために周転円を導入しなければならなかったが、それは太陽が地球の周りを回っているという間違った前提を元にモデル化したからである。
均衡モデルも統制経済に基づいてモデル化したため、現実と遊離した供給曲線や、さらには、収穫逓減といった仮説を追加せねばならなくなってしまった。