経済学でいうところの完全競争市場には、倒産という概念が無い。完全競争市場では倒産が起きないということではなく、倒産が起きることを考えると完全競争市場が成り立たないという意味である。
先日、PC-Succesを運営するサクセスが倒産した。代金を前払いしたが商品を受け取っていない消費者が1,500人以上いて、その人たちが商品を受け取れる可能性は低いらしい。倒産が起きた場合は、このように代金を払ったが商品を受け取れなかったり、商品を納入したが代金を受け取れなったりする。このようなケースを防ぐため、現実の取引では、取引相手を選別し、取引相手により取引条件を変えたりする。
取引相手を選別しないというのは、商品を無差別選択する完全競争市場の必要条件である。倒産が起きることを考えて、取引相手を選別すると、完全競争市場は成り立たない。完全競争市場は、その名称とはうらはらに、ある意味で極めて牧歌的なモデルであると言えるだろう。
