経済学者に騙されないために

経済学を履修してない人のためにごく簡単に説明しておこう。経済学というのは、意味があって現場でも証明されているたくさんの役に立つ理論や事実で華々しく始まり、それからあとは坂道を転げ落ちていく分野の中の1つだ。最初の有用なやつはミクロ経済学で、これは文字通りビジネスで重要な理論すべての基礎となっている。その後は悪化していき、マクロ経済学が出てくる(これはスキップして構わない)。マクロ経済学金利と失業率の関係のような興味深い理論についての話なのだが、当たっていることよりはずれていることの方が多い。

いや、逆でマクロの経済学よりミクロ経済学の理論の方が外れていることが多い。特に最悪なのは均衡モデルである。

あ、もちろんジョエルが言っているように(ミクロ)経済学は勉強した方がいい。でないと鳩山兄みたいに「高速道路の渋滞している時間帯は料金を下げるべきだ」なんてトンチンカンなことを言う大人になってしまう。

経済学は勉強した方がいい。ジョーン・ロビンソンが言ったように、経済学者に騙されないために。経済学を批判的に学べば、経済学で言われていることのおかしさがわかるかもしれない。経済学の考え方まで否定する必要はないが、経済学の理論は疑ってかかるくらいでちょうどいい。

どの政治家に投票すれば暮らしが良くなるのかを知るには、夏目漱石芥川龍之介を読むより、現代経済学の教科書を読む方が、何百倍も効果的だ。

いや、少なくともミクロ経済学は、現在の深刻な不況の「共犯」ぐらいの地位にあると思う。経済のことをろくにわかってもいないのにわかったつもりになったことが、経済がおかしくなった原因の一つと言えるだろう。