反現実的な完全競争市場

完全競争市場における均衡価格は、完全競争市場自体の前提条件か物理法則を無視しないと成立しません。

実際の取引は、経済全体として各財の需給が一致する市場均衡価格の下でのみ行なわれる

つまり、どういうわけか、需要供給分析では、均衡価格が成立するまで、実際の取引はしないのである。じゃあ、均衡価格が成立しないときには、なにをしているのかといえば、「ワルラスのせり人」さんに向って、電光掲示板の価格なら何個売ります、何個書います(原文ママ)と、需要量、供給量を宣言しながら、ひたすら待っているのである。

「待っている」のではなく、「均衡価格が成立するまでにかかる時間はゼロとする」というのが、完全競争市場の前提条件からすると妥当な解釈だと思います。「待っている」とすると、「待っている」時間がコストとして計上されなければなりませんし、需要も供給もフローなので超過供給が起っている状況は、時間の経過とともに変化することになります。「待っている」とすると、そういった矛盾が生じます。完全競争市場というモデル内部で矛盾してしまいます。

もちろん、「均衡価格が成立するまでにかかる時間はゼロとする」と、情報通信等の速度が無限大でなければなりませんので、光の速度を超えられないという相対性理論に反することになります。