震災以上の経済の落ち込み

経済の落ち込みは震災以上と見なすべき

本日(13日)、GDPの速報値が発表されました。震災以来の経済の落ち込みと言われていますが、震災以上と見なすべきでしょう。

ことし4月から6月までのGDP=国内総生産は、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動で個人消費が落ち込んだことなどから、前の3か月間と比べ実質でマイナス1.7%、年率に換算してマイナス6.8%でした。

これは、東日本大震災の影響で年率マイナス6.9%だった平成23年の1月から3月のGDP以来の大幅な落ち込みです。

今回は、在庫の増加がGDPを押し上げました。GDP成長率に対する寄与度が1%もあります。それに対して、震災時は、在庫は大幅な減少であり、GDPを押し下げました。

経済の低迷は今後も続く

経済の落ち込みは、駆け込み需要の反動減だけではなく、消費税そのものによる消費の抑制もあると考えるべきです。大きく経済が改善する要素は見受けられませんから、経済の低迷は今後も続くと見るべきでしょう。年間のGDP成長率がマイナスになる可能性が高いです。

ことし4月から6月までのGDPが大幅に落ち込んだことについて、経団連の榊原会長は「消費税率引き上げの駆け込み需要の反動減に伴い国内の民間需要を中心にマイナスとなったが、ことし1月から3月の高成長の反動と考えている。今後、予算の早期執行など政策の下支えがあるなかで、堅調な企業業績や雇用情勢の着実な改善などを受けてプラス成長に復帰し、回復基調を続けていくと思う」とコメントしています。

また、経済同友会の長谷川代表幹事は「ことし1月から3月のGDP成長率が高い水準となった反動が出ている。ただし、月ごとに改善を続ける雇用情勢を踏まえれば、駆け込み需要の反動の影響は緩和されつつあるとみられ、景気の回復基調は現在も続いていると認識している。先行きに対する不透明感が以前より増している側面は否定できないが、消費税率引き上げを先送りする猶予はなく、政府には景気への一層の目配りが求められる」というコメントを発表しました。

1月から6月まで通して見ても、GDP成長率がマイナスになっていますから、反動減だけではないと見るべきでしょう。

一方、甘利明経済財政相は「1─6月で平均してみると、前年同期を上回っている」と指摘。「月次指標をみても景気は緩やかな回復基調が続いており、これまで政府が示してきた景気認識に変わりはない」とコメント。

1月から6月まで通してマイナスのGDP成長率が、大きく改善するような要素は見受けられません。今回GDPを押し上げた在庫の増加は、次はGDPを押し下げる方向に作用します。回復基調が続くというのは、楽観に過ぎます。