能天気な人々が消費税増税を唱えるというパラドックス

消費税こそ財政再建の敵」と書きましたが、消費税増税を唱える人々は、なかなか減りません。能天気な人々が消費税増税を唱えるというパラドックスがあります。

経済同友会は21日、財政再建に関する提言を発表した。歳入面では2017年4月に消費税を予定通り10%に引き上げるだけでなく、17%まで段階的に追加で増税すべきだと求めた。歳出も社会保障分野の大胆な改革と給付カットが必要だと訴え、年間5000億円のペースでの公費削減に取り組むよう促した。

経済同友会って、お金が天から降ってくると考えている能天気な人々の集まりのようです。誰かが支出を減らすことは、誰かの所得を減らすことです。公費削減は、GDPを減らして税収を減少させる方向に作用します。また、消費税増税は消費を抑制しますから、それも、GDPを減らして税収を減少させます。

要するに、ストックからみてもフローからみても、消費税増税はデフレ化を介して企業の投資意欲を削ぎ、総税収を減らし、政府総債務を増やしているという流れが見えてきます。

皮肉なことに、プライマリーバランス均衡を達成し、政府債務を減らそうと、消費税を増税すればするほど、名目GDPを減らす効果の方が大きく現れ、税収は減り、国債増発は余儀なくされ、財政健全化指標、政府債務残高対GDPは悪化するというわけです。

財政再建には、消費税の減税もしくは廃止こそ望ましいです。財政再建には、消費の抑制効果が高い消費税の増税よりも所得税法人税増税の方が望ましいです。

消費税を増税するとすれば、負の財政政策として、景気過熱の冷却手段と考えるべきです。