限界費用逓増における致命的欠落

限界費用曲線という幽霊?

限界費用逓増という状況下で、限界費用と市場価格が一致する生産量で生産する」という考え方には、致命的な欠落があります。それは、「企業はどうやって限界費用曲線を推定するのか」というものです。
限界費用と市場価格が一致する生産量で生産するには、限界費用曲線を推定する実用的な方法が存在しなければなりません。限界費用曲線を推定する、低コストで高精度な方法が存在しなければなりません。

もし、ほとんどの企業が限界費用と市場価格が一致する生産量まで生産しているとしたら、限界費用曲線を推定する実用的な方法が広く実施されており、結果として、その方法は広く知られているはずです。そのような方法は見当たりません。

限界費用曲線を推定する実用的な方法

限界費用曲線を推定する実用的な方法が存在しないわけではありません。下記のような総費用曲線を推定する方法があることは、損益分岐点分析において知られています。これらから限界費用曲線を導くことは容易です。しかし、これらは限界費用一定という前提の下での方法です。

  • 費目別精査法
  • 最小自乗法