経済学が信頼されない理由

経済学が信頼されないのは、ニセ科学と同様の論法を使っているから

日本人の経済学への不信感には根強いものがある。その裏には歴史的なもの、制度的なもの様々な要因があるのだろうが、個々人に限れば「経済に関して見聞きした知識から納得感が得られない」ということこそが不信感の元になっていることは疑いようがない。

経済学が信頼されないのは、経済学の論法がニセ科学擬似科学の論法と同じだから。

動物実験の結果がそのままヒトに使えないことは当たり前だし、研究段階の医学をどう使うかは説明するまでもない、というのが太田教授の認識のようであった。しかし、今日の講演で小内先生が指摘したように、試験管内の実験や動物実験だけでヒトに効果があるように装う健康・ダイエットグッズはニセ科学の定番である。つまり、太田教授の考えている常識は正しいし、私も同意するのだけど、健康グッズに振り回される人達とそこにつけ込もうとする業者には、全く共有されていない。

「試験管内の実験や動物実験」が完全競争市場や均衡モデルに、「ヒト」が現実の経済に相当する。モデル化の際に無視した要素が現実には無視できない要素だったというようなケースは、いくらでもある。モデルが現実を説明するのに充分である根拠を示す責任は、モデルを提唱している側にある。安易にモデルを信奉しない方が、むしろ健全な考え方だろう。