光は遅すぎる

現実経済の市場は、ミクロ経済学の反証に満ちています。ここに挙げているのも、その一つです。

部分均衡モデルや一般均衡モデル等のミクロ経済学では、価格が一瞬で伝わり、価格の伝わる速さは無限大であるかのように仮定されています。しかし、現実には、価格の伝わる速さは、光の速さ(厳密には光を含む、電磁波の速さ)に制限されます。

光の速さは、多くの普通の商品に対しては、無限大であるかのように見なして良いでしょう。しかしながら、逆に、光の速さというより光の遅さが、重要な問題になっている商品もあります。

株式の取引等では、光の遅さが重要な問題になっています。株式の高速取引とか呼ばれているものがそうです。高速取引では、1ミリ秒以下のレベルが必要になります。1ミリ秒では、光の速さで移動しても東京大阪間の片道にもなりません。このように通信の時間が重要な問題になるため、取引所の株式売買システムサーバーと同じ建屋内に企業の高速取引サーバーを置くことのできるコロケーションサービスが提供されています。

このように、少なくとも株式等の商品においては、価格が伝わることに時間がかかることを前提としないとモデルとして使い物になりません。