国の借金詐欺

『成長で財政は黒字化』と高をくくる人に伝えたい 借金をツケ回すコスト=利払い費が増えてゆく」という記事があまりに酷いので反論します。

すぐ分かる問題点が二つ。

  • そんなに利払い費が心配なら、何故、債権放棄を提唱しないのか?
  • ほとんど全ての国債は、固定金利であり、金利が上昇しても利払い費は増えない。

そんなに利払い費が心配なら、何故、債権放棄を提唱しないのか?

そんなに利払い費が心配なら、何故、債権放棄を提唱しないのですか?債権放棄は、あくまでも権利の放棄ですが、政府が保有し、国会決議で方針が左右される機関ならば、国会決議を無視できません。最悪、法律を改定することもできます。国債保有している政府関係の機関には国債を放棄させることが理論的には可能です。国債の半数以上は、日銀が保有しており、国会決議を無視できません。

実際には、日銀が保有している国債の利払いや元金は、自動的に国庫に納付されます。差し引きゼロです。節約できるのは、事務手数料程度であり、手続き変更のコスト等を考えると割に合わないかもしれません。

逆に言えば、国債過半数を日銀が保有している以上、利払い費は、相対的に見るとさほど大きくなりません。

ほとんど全ての国債は、固定金利であり、金利が上昇しても利払い費は増えない

ほとんど全ての国債は、固定金利であり、金利が上昇しても利払い費は増えません。個人向けに変動金利国債があるだけです。

もちろん、償還分の国債に見合う国債を発行すると、その国債については、上昇した金利に合わせる必要があります。しかし、その場合は、金利の上昇に先立ち、景気が回復しているはずなので、政府支出は相対的に減少し、政府収入は相対的に増加しているはずです。したがって、国債の発行分も相対的に減少しているはずです。

景気が回復せず、金利だけ上昇したらどうする?と反論する人も、いるかもしれません。しかし、そんなことが起きるでしょうか?どういう仕組みで、そんなことが起きますか?そう考えていくと、金利だけ上昇するというのは、根拠のない、反論のための反論に過ぎないことがわかります。

日銀は、円を理論的には無限に発行できます。利払い費等、気にする必要はありません。気にしなければならないのは、インフレ率です。円を発行し過ぎれば、インフレ率が上昇するので、円の発行し過ぎに注意を払う必要があります。

補足

そもそも、利払い費を減らして、国民に何の利益があるのか?という問題もあります。「所得は支出の結果」で書いたように、誰かの所得は、別の誰かの支出の結果です。政府が利払い費を減らすことは、国民全体から見ると、国民の所得を減らすことに他なりません。利払いによる不公平の是正の必要はありますが、利払い費そのものを否定するのは、マクロ経済の無知と言われても仕方ないでしょう。