経済学

ミクロとマクロはほぼ逆

ミクロ経済とマクロ経済はほぼ逆 ミクロ経済とマクロ経済は、完全にではありませんが多くの点で逆です。例えば、ミクロ経済では、一般に経済全体を所得の合計として考えますが、マクロ経済では、逆に経済全体を支出の合計として考え、所得は支出の結果として…

四重の等価

マクロ経済を考える上で、私が基礎になると考えていることが、四重の等価です。ですが、特に難しいことを考えているわけではなく、二重の複式簿記と複式簿記の左右は各々等しくなる。ということを覚えておけばいいです。 売った商品と買った商品は等しい。売…

円建て国債の暴落という大嘘

MMTの批判などを読んでいると、いきなりのハイパーインフレと並んで、円建て国債の暴落の話が、よく出てきます。 これも、はっきり、間違いです。厳密には、富士山の噴火、西日本大震災など、円建て国債の暴落につながりそうなものもありますが、事前の準備…

いきなり、ハイパーインフレという大嘘

MMTの批判などを読んでいるとよく出てくるのが、いきなり、ハイパーインフレになって経済が収拾がつかなくなるという意見です これは、はっきり、間違いだと言い切れます。厳密には、富士山の噴火、西日本大震災など、いきなりハイパーインフレになりかねな…

悪質な国の借金詐欺

国の借金という表現を使うのは、詐欺師か詐欺師の犠牲者である 国の借金という表現を使うのは、「国の借金」でないものを「国の借金」に見せかけようとしているからに他ならない。本当の「国の借金」でいうなら、世界二位の経常収支黒字国である日本は、「国…

私たちは、同じ商品であっても区別する

現実の私たちは、一般均衡モデル、部分均衡モデル、完全競争市場といった、経済学のモデルと異なり、同じ商品であっても区別します。これは、同じ商品を複数買うことを考えればわかります。同じ商品を10個買う場合、区別しない場合、1個ずつ、10軒別の店で買…

供給や需要の数量は一意ではない

供給や需要の数量は供給者と需要家との組み合わせの数で変わります 一般均衡モデルや部分均衡モデル、完全競争市場における供給や需要の数量は一意ではなく、供給者と需要家の組み合わせの数で変わります。 供給や需要の数量が一意ではないことは、月や火星…

財政赤字は財政赤字ではない

財政赤字は、大部分は民間支出過小と呼ばれるべき 財政赤字は、大部分は民間支出過小と呼ばれるべきものであり、民間支出過小と呼ばれるべきものと、財政支出過大(本来の財政赤字)とが一緒にされ、それが何故か財政赤字と総称されているものです。 民間支出…

政府の負債は、返す必要がないし、事実上返せない

政府の国債などの負債は、返す必要がないし、事実上返せません。念のため言っておくと、借り換えで繰延すればよいということで、踏み倒せということではありません。 MMTでいうところの主権通貨国であれば、政府の国債などの負債は、中央銀行が買い取ってし…

貯蓄は投資の結果

先日より、amebaブログの「いわゆる日本の借金問題」というエントリのコメント欄でマクロ経済学の「貯蓄=投資」について、議論してきました。 私の主張について整理して、ここで述べたいと思います。 私の主張は、以下の二点です。 マクロ経済学の「貯蓄=投…

財政赤字は大きいほど良い

先日、「超低金利を支える財政赤字」というエントリを書きましたが、あれで挙げた式からは、他にも、以下のような意外な結論が導き出されます。 財政赤字は大きいほど良い。 政府債務は返済の必要が無い。少なくとも、通常の債務と同様に扱うことはできない…

低所得者には給付金を

「低所得者に減税した方が経済効果は高い」というエントリがありましたが、税に限らずに経済全体を見るならば、給付金等の方がさらに経済効果は高いでしょう。 低所得者は税金も少なかったり、払っていなかったりするため、減税の恩恵をわずかしか受けられま…

超低金利を支える財政赤字

予想に反して続く財政赤字と超低金利 財政赤字と低金利の両立は続けられないと言われ続けて相当経ちます。しかしながら、むしろ、金利は低下する一方です。 そこでタダだったので読んでみたのが、竹中平蔵氏、池田信夫氏、鈴木亘氏、土居丈朗氏による「日本…

サルでもわかるISバランス論のおかしさ

因果関係が逆立ちしているISバランス論 経済学の学説には、あべこべと思えるものが少なくありませんが、いわゆるISバランス論(貯蓄投資バランス論)もその一つです。GDPの三面等価から、以下のISバランス式が導き出されます。 貯蓄(S)-投資(I) = (政府支出(G)…

お金が天から降ってくるマクロ経済学

以前、「お金が天から降ってくると思っている人々」というエントリを書きました。 このような「お金が天から降ってくる」的な考えに陥る最大の要因は、マクロ経済学の間違いにあるようです。マクロ経済においては、支出が原因で所得が結果であるのに、全く逆…

経済学者は投資を理解していない1

投資の結果が貯蓄である マクロ経済における投資に対しての最大の誤解は、投資と貯蓄に関する因果関係を逆に捉えていることでしょう(このエントリで言う投資や貯蓄は、特に断らないかぎり、マクロ経済におけるものを指します)。投資が原因で貯蓄が結果なので…

経済学者は消費を理解していない1

経済学者もマクロ経済を理解していない 「ちょっと気になる社会保障と経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば」というエントリで「経済学者は貯蓄を理解していない」というコメントを書きました。しかしながら、経済学者は貯蓄を理解していないだけでは…

供給曲線の矛盾

供給曲線を成立させる仮定は相容れない 供給曲線を成立させるために、一般に以下のような反現実的な仮定がなされている旨、先日のエントリに書きました。これらの仮定は、反現実的なだけではなく、相互に矛盾する相容れないものです。 個々の企業は、水平な…

真夏にコートを着る合理的経済人

合理的経済人という錯覚 合理的経済人という言葉からすると、非人間的なほど合理的に行動する人間という印象を受けます。 経済学に対する批判でも、「人間はそれほど合理的ではない」といった種類の批判がよく見られます。しかし、本当の問題は、合理的経済…

限界費用逓増における致命的欠落

限界費用曲線という幽霊? 「限界費用逓増という状況下で、限界費用と市場価格が一致する生産量で生産する」という考え方には、致命的な欠落があります。それは、「企業はどうやって限界費用曲線を推定するのか」というものです。 限界費用と市場価格が一致…

ミクロ経済学の反現実的な仮定

ミクロ経済学は、多くの非現実的、反現実的な仮定からなっており、そのため、そうした仮定の下で導かれるミクロ経済学上の結論は、必ずしも現実の経済に適用できるものではありません。 「空気の無い真空中では石も木の葉も同じように同じように落下する」は…

ミクロ経済学は需要や供給を理解しているのか?

ミクロ経済学の基礎は怪しい ミクロ経済学においては、需要や供給という基礎的なものすら適切に理解されているか怪しいです。例えば、需要量や供給量は、普通に足し合わせていいのでしょうか?足し合わせることができないものはいろいろあります。温度は足し…

ミクロ経済学者は算数ができない

計算の順序を無視するミクロ経済学(者) 先日のエントリは、説明の中途半端さもあって、意図が適切に伝わらなかったようなので、ミクロ経済学の間違いについて説明し直します。ミクロ経済学における根本的な間違いは計算の順序を無視していることです。「1を…

ミクロ経済学こそ非合理的

非合理的な行動を基礎にしているミクロ経済学のモデル ミクロ経済学の均衡モデル等のモデルには、致命的な欠陥があります。それは、取引相手の区別が欠けており、非合理的な行動をすることを基礎にしたモデルになっていることです。合理的な行動をとれないモ…

国内総所得における貯蓄の実体は実物資産

ISバランス論における根本的な間違いは、GDI(国内総所得)における貯蓄を現金や預金といった金融資産(の増加)と誤解していることにあります。GDIにおける貯蓄は、設備等の実物資産(の増加)です*1。設備等の実物資産が増えるのは、投資という行為の結果です。…

所得と支出は同じもの

現在の欧州危機の事実上の震源地となっているドイツ(ギリシャではなく)では、憲法に連邦政府と州政府の双方に均衡予算の維持を求める債務ブレーキ制度を組み込んだことで、ギリシャ救済に対する国民の支持は全く得られず、ユーロ発行権を持つECBもドイツの意…

経済学という砂上の楼閣

そして1870年代、 限界革命を主導したひとり、レオン・ワルラスは、実際上あるいは歴史上ほとんど観察されない物々交換を出発点に、より複雑な経済関係を継ぎ足し経済学説を構築しました。その結果、静態理論とは「物々交換経済」という架空の想定に基づくた…

過労死促進法案?

安倍首相は先月20日の衆院予算委員会で「グローバルに活躍する高度専門職に絞っている。今度のは全く別物だ」と強調。働き手の同意を得ることや、働き過ぎを防ぐ仕組みを強化したことも挙げ、批判をかわそうとする。「グローバルに活躍する高度専門職」に…

お金が天から降ってくると思っている人々

今朝の日経一面に伊藤元重教授らが民間委員の立場で、基礎的収支の年2.5兆円改善提案をしたとか。 誰かの債務が裏付けにならなければそれに見合う資産はないし、経済を回すマネーとは誰かが作った債務の証文(債権)の流れですから、唯一不況でも健全に債務…

所得と支出は同じもの

所得と支出は同じものです。正確に言うなら、所得と支出は同じものの別々の観点からの呼び名です。所得は商品やサービスを提供する側からの、支出は商品やサービスの提供を受ける側からの呼び名ということになります。債権と債務、輸出と輸入等と類似の関係…