2005-01-01から1年間の記事一覧

均衡モデルはどうおかしいか(1)

4月25日のエントリのコメントなどを読むと、どうも基本的なところで認識が食い違っているようだから基礎的なところから説明し直そう。まず、利潤と供給量との関係を具体的な例をあげて説明しよう。大きな街に焼きたてのパンを売るパン屋があるとする。このパ…

原油価格が高止まりする理由

原油価格が高止まりしている。個人的な見解を述べるなら、その主な理由は、原油の価格が高くなると産油量が減少する傾向があるからということになる。価格の上昇が産油量の減少を引き起こし、産油量の減少が需給の逼迫を引き起こし、需給の逼迫が価格の上昇…

ウォーターフォール型開発が失敗する理由

ウォーターフォール型開発が失敗する最大の理由は、コミニュケーションの難しさにある。 開発が成功するには意図を正しく伝える必要があるが、意図が正しく伝わっているか確認するには出来上がったもので確認するしかない。仕様書に意図が正しく反映されてい…

サマータイム制導入という愚行

サマータイム制度を導入するための法案が国会に提出される見込みらしい。 http://highjump.cocolog-nifty.com/highjump/2005/05/post_80a2.html http://alocer.at.webry.info/200504/article_6.html http://blog.goo.ne.jp/nosuit/e/05febd72ced47c5817960a6…

ご都合主義な一般均衡モデル

これまで部分均衡モデルを念頭において批判してきた。では、一般均衡モデルにおいてはどうだろうか。1つの商品の需要と供給とにより1つの商品の価格と数量とが一意に決まるというのが部分均衡モデルであるのに対して、多数の商品の需要と供給とにより多数の…

売れ残った時の対処

相対取引において、供給量が需要量を上回り、商品が売れ残った時、売り手が採る対処には、以下のようなものがある。 廃棄する。 価格を下げる。 供給量を減らす。 通常は、最後の「供給量を減らす」という対処が採られることが多い。供給量を減らすことによ…

均衡モデルが想定している経済と現実の経済

均衡モデルが想定している経済と現実の経済とでは、ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学とほどの違いがある。均衡モデルが想定している経済では、証券取引所で行われるような競り取引を行う。多数の売り手と多数の買い手とが取引に関わり、一番安い価…

収穫逓減という周転円(続)

収穫逓減という周転円のエントリに対する批判をいくつか見かけたので、2点ほど、反論とエントリに関する補足をしておこう。まず、「収穫逓減」がわかっている人には説明不要と思って、はしょったのだが、収穫逓減という周転円のエントリで主張している「企…

収穫逓減という周転円

均衡モデルでは、右上がりの供給曲線を説明するために、生産量が増えるほど生産量あたりの費用が増え利潤が減るという、「収穫逓減(費用逓増)」の仮定を置いている。 関さんのエントリにおいては、収穫逓減を「近代産業では現実にはあり得ないナンセンスな原…

デフレ

デフレの際、賃金が下がりにくいこと(賃金の下方硬直性)が問題になることが多い。http://hiro551.exblog.jp/1824959/だが、それはデフレのごく一部しか見ていないことになる。例えば、製品の単価が10,000円で、製品の材料費は5,000円で、加工に1年かかるとし…

無実だからこそ自白する?

名張毒ぶどう酒事件に関連するいくつかのエントリを読んだ。 http://newsnews.exblog.jp/1417063/ http://suziesnews.exblog.jp/2457719 http://shinka3.exblog.jp/1424057 http://jmseul.cocolog-nifty.com/jiji/2005/04/post_14.html http://beatniks.coco…

経済全体を正しく認識している者などいない

下記のエントリを読んでいて、一人の人間に多くを求め過ぎなのではと思った。http://diary.jp.aol.com/uvsmfn2xc/157.htmlそもそも、経済全体を正しく認識している者などいないと言っていい。理論家は空理空論を振り回しているだけだし、実務家は自分の経験…

成果主義がうまいくいかない理由

最近、成果主義に関する、記事やエントリをいくつか目にした。 http://blog.goo.ne.jp/happy-kernel-0297/e/ae2bbba37e17066e9c49d581d244fc5e http://www.kurikiyo.com/mt/archives/2005/03/post_48.html http://nikkeibp.weblogs.jp/basic_skill/2005/03/0…

供給曲線は成り立たない(4)

ブードゥー教も真っ青な均衡モデル 均衡モデルにおける供給曲線は、各生産者が需要が無限大であるかのように行動するという前提の下になりたっているが、これは論理的でない。需要が供給より大幅に上回っていれば、生産者は需要が無限大であるかのように行動…

無茶苦茶な判決

ACCS事件の判決が出たのだが……。 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/03/25/6983.html http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0503/25/news022.html http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200503250132.html http://slashdot.jp/…

供給曲線は成り立たない(3)

「供給曲線が成り立たない」ということを整理してみよう。均衡モデルにおける供給曲線においては、価格により供給量が一意に決まる。それに対して、トヨタ生産方式や『ザ・ゴール』で有名になったTOCでは、売れた分だけ作ることを、すなわち需要量に一致する…

経済学という宗教?

経済学における議論は、ともすれば、イデオロギー的、宗教的になることが珍しくない。それは、経済学における論証の方法が宗教的だからである。一般の自然科学においては、ある理論、法則の根拠となるのは、再現性のある事実である。例えば、相対性理論は真…

日本語を勉強しよう

「ほふり」って……。http://www.jasdec.com/「ほふる」を辞書でひけばわかるはずだけど、こんな縁起でもない名前を使う? 証券会社の「客殺し営業」というのは聞いたことがあるけど、皮肉が利きすぎ。やはり、悪魔の見えざる手が働いているんだろうな……。

世間の常識、経済学の非常識

「実証を無視している経済学者」のひろさんのコメントにもあるように、経済学が現実とはかけ離れた前提のもとに成り立っていることに多くの人々が気づかないのはなぜだろう?それは、経済学が現実とはかけ離れたすぎた前提のもとに成り立っているからだろう。…

実証を無視している経済学者

「経済学者は理論の実証を放棄しているという主張が、どうして出てくるのかさっぱり理解できない」とsvnseedsさんのエントリが書かれていたが、こと、ミクロ経済学、ミクロ経済学者については、「理論の実証を放棄している」と言われてもしょうがないように…

トンデモって?

この「酔狂人の異説」では、均衡モデルは間違っているという、主流派経済学の信奉者からは「トンデモ」呼ばわりされること必定の主張をしている。 だが、「トンデモ」とは何だろうか?もし、それが定説と異なることを指すのならば、地動説も、相対性理論も、…

正しい人事評価は不可能

正しい人事評価ができるのか疑問を投げかけるエントリをいくつか見かけた。http://www.milkstand.net/fsgarage/archives/000621.html http://iandeth.dyndns.org/~jimbo/mt/archives/2005/02/post_5.html正しい人事評価はできない。理由は二つある。 一つは…

供給曲線は成り立たない(2)

「売れ残りが起きるから供給曲線は成り立たない」と述べた。ではなぜ、均衡モデルでは、生産者が売れ残りが起きないかのように行動するということになるのだろう。均衡モデルでは、個々の生産者の生産量(供給量)が市場全体の生産量に比べて非常に小さい場合…

客観的という幻想

絶対的な客観性は存在しない。どのような見方であっても主観が紛れ込む。哲学においてとっくの昔に結論がでていることだが、多くの人は全く知らないようである。 「客観的な事実」という言い方をするが、これは客観性の高い事実ということにすぎず、主観が入…

ストックオプションは「一時所得」

「ストックオプションは給与所得である」という判決が1月25日に最高裁でおりた。http://www.asahi.com/national/update/0125/021.html http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050125AT1G2502S25012005.htmlだが、この判決にはまっこうから異を唱えたい。「…

供給曲線は成り立たない(1)

「需要曲線は成り立たない」と述べた。では、供給曲線はどうだろうか? 結論から言うと、需要曲線が成り立たない以上に供給曲線は成り立たない。なぜならば、供給曲線は「作ったものが全て売れるかのように行動する」ということを前提としているからである。…

為替介入はどの程度有効か?

為替レートが大きく動くと為替介入が当然のように話題になる。だが、為替介入はそれほど効果があるものなのだろうか?自国通貨の買い支えには限界がある。論理的にも事実としてもこのことは証明されている。自国通貨の買い支えには外貨が必要なため、ある程…

不確実さは減らせる

「卵を一つのカゴに入れる」の一環として、「ジュタローさんのエントリ」では「リスクを減らせばリターンも減りますし、ハイリスクを取ればハイリターンが期待できる」と書かれている。だが、「リスクを増やさずにリターンを増やす」もしくは「リターンを減…

正しい評価などない

青色LED訴訟の和解が成立したが、一審の対価600億(請求200億)の認定に比べて、対価6億1千万(プラス遅延損害金2億3千万)と評価が1/100になっている。 第三者が行った評価でもこれだけの違いがでるのだから、当事者が行った評価に大きな違いがあっても何の不思…

卵を一つのカゴに入れる

「卵を一つのカゴに入れるな」というリスク分散に関する言葉がある。卵を一つのカゴに入れると何かあった時に、全ての卵が一緒に割れてしまうリスクが高い。だからリスクを減らすために複数のカゴにわけろというのである。 だが、逆に「卵を一つのカゴに入れ…